Pixel 5 からBudsをワイヤレス充電するバッテリーシェア機能とは

 




バッテリーシェア

 

Pixel 5 はワイヤレス充電が可能ですが、さらにPixel 5から他のデバイスをワイヤレス充電できる バッテリー シェア という機能が追加されました。
Pixel 5 スマートフォンでアクセサリをワイヤレスで充電する

Pixel 5 を充電パッド代わりにしてワイヤレス充電を可能に、例えばPixel Budsを充電するというものです。

これは使い物になるのか疑問が湧いてくるのですが、この発想はAppleのワイヤレス充電可能のAirPodsが発売された際に巷で噂になっていました。ある程度支持される方向性かもしれません。
 

 

AirPower の失敗

 

Appleとワイヤレス充電については忘れてはならないことがあります。

2018年に複数のデバイスがワイヤレス充電できるAirPowerを、鳴り物入りで発表したのでしたが…翌年に断念しました。技術的にギブアップしたようです。
 

Apple has canceled the AirPower product completely, citing difficulty meeting its own standards. “After much effort, we’ve concluded AirPower will not

 
ところが再開の噂が出てきています。再開に際してそもそも何が問題だったのかが少しつまびらかにされているのですが、それは発熱問題で発火する事態が発生していたようです。
アップル純正ワイヤレス充電マットAirPower、年末に250ドルで発売の噂

 

ワイヤレスイヤホンの充電

 

発熱問題について、AppleのAirPodsの例があります。

1x1.trans - Pixel 5 からBudsをワイヤレス充電するバッテリーシェア機能とは

AirPodsをBelkin製のワイヤレス充電パッドによる充電です。(BelkinはApple純正のワイヤレス充電パッドを販売しているメーカー)AirPods対応とは明記されていませんが、iPhoneには対応しています。

充電を始めて15分ごろからおかしくなり、最終的にLEDランプが消灯し充電が止まっていました。

1x1.trans - Pixel 5 からBudsをワイヤレス充電するバッテリーシェア機能とは

充電パッドとAirPodsのワイヤレス充電ケースが熱くなっています。
おそらく熱遮断機能が働いたと考えられます。

ちなみに、気温は24°程度で標準的な環境です。

対策(苦肉の策):

熱が出ていたので扇風機で空冷しての実験です。
強力に空冷すること3時間半ほどで100%まで充電が完了

1x1.trans - Pixel 5 からBudsをワイヤレス充電するバッテリーシェア機能とは

ケーブルで充電した場合は1時間55分だったのでワイヤレス充電は2倍弱かかったことになります。しかも空冷してということです。

実際に空冷ファンが付いたワイヤレス充電パッドが売っている意味がわかりました。発熱しやすいということです。

AirPods対応では無いと言われるとそれまでですが、機種ごとに充電パッドが必要だとするとワイヤレス充電はそれほど便利で簡単なものではないようです。

 

ワイヤレス充電の仕組み

 

非接触型の電力伝送、いわゆるワイヤレス充電にはいくつかありますが、現在多くスマホで採用されているのが Qi(チー)という方式で、基本的には電磁誘導を使います。(一部、磁界共振も採用されています)
 
充電パッドのコイルに電流を流すと磁束が発生。近接する相手側のコイルがこの磁束に影響されて誘導電流が発生しバッテリーが充電がされる。
 
1x1.trans - Pixel 5 からBudsをワイヤレス充電するバッテリーシェア機能とは


 
これは基本的にはトランスと言われる変圧器と同じ原理です。
鉄心は2つのコイルをつないでいますが、この鉄心を切り離して2つのコイルにバラバラにしてもそれなりに電磁誘導が可能です。

1x1.trans - Pixel 5 からBudsをワイヤレス充電するバッテリーシェア機能とは

鉄心が無い、あるいはギャップで切り離されていると漏れが大きく伝送効率が減少します。
そのためワイヤレス充電の電磁誘導方式はコイル間隔を極力縮める必要があり、位置ずれが大きなネックとなります。

またこの鉄心が大きく重いため家電品では小型化、軽量化には苦労がありました。

現在ではスイッチング電源方式のお陰で家電品を軽く小さくできるようになりました。
この方式はNASAがアポロ計画で宇宙機器に搭載するために開発され発展したものだそうです。(実際のスイッチング電源:組み込みスイッチング電源

スイッチング電源で使われているPWM方式は更に発展してAC-DC-AC変換から周波数調整を可能にして、インバータ制御のエアコンとかビルの空調など様々なところに使われています。(地下鉄のモーター起動時にはPWM高調波音は鉄オタに人気です)

 

バッテリーシェアの注目点

 

バッテリーシェアに戻ると、すでに販売されているワイヤレス充電の問題点から想定されることとして

  • Pixel Buds以外に使えるのか
    • 他のQi対応のワイヤレス充電デバイスで使えるかどうか疑問
  • Pixel Budsの置き方で充電ができないなどの問題はないのか
    • Pixel 4 XL では充電不具合があるようです
    • スマホケースを付けていると充電できない事象が想像できます
  • そもそもPixel 5のバッテリーを充電して、そのバッテリーで他を充電すると充放電回数が多くなるのでバッテリーの劣化が早くなるのではないか

メリット:Budsのためにワイヤレス充電パッドを別途購入する必要が無い

これは大きいでしょう、充電パッドは数千円するのでわざわざ買いたくない人はたくさんいると思います。

この点はAppleも導入すべきでしょう。ただ既にPowerDropという「コンセプト」があるようですが、iPhone 12 では未搭載でしたう。

電磁誘導方式は比較的簡単なので採用されましたが、近接しないと充電できない問題を克服するためには磁界共振等を利用したものが最終的に実用に耐えるものになるのかもしれません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする